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技術的特異点って知ってるか?

2014-04-21-13-07-07

(機械式計算機の発明を受けて)

… そのような機械を使えば、学者は精神を酷使することなくただクランクを回すだけで問題の答を捻り出せてしまう訳で、これが学校にでも持ち込まれたなら、それこそ計算不能なほどの弊害を齎すでしょう。

いわんや、そのような機械がおおいに発展し、自らの欠陥を正す方策を思いつくこともないまま、人智の理解を超えた概念を捻り出すようになったとしたら!

1847年-編集者R.ソーントン

機械が思考する方法がひとたび確立したならば、我らの如きひ弱な力はすぐに追い抜いて行くだろう。

… 従って何らかの段階で、機械が実権を握ることになると考えねばなるまい。
1951年-数学者アラン・チューリング

(ジョン・フォン・ノイマンとの会話)

あるとき、進歩が速まる一方の技術と生活様式の変化が話題となり、どうも人類の歴史において何か本質的な特異点が近づきつつあって、それを越えた先では我々が知るような人間生活はもはや持続不可能になるのではないかという話になった。

1958年-数学者スタニスワフ・ウラム

超知的マシンを、いかなる賢い人もはるかに凌ぐ知的なマシンであるとする。

そのようなマシンの設計も知的活動に他ならないので、超知的マシンはさらに知的なマシンを設計できるだろう。

それによって間違いなく知能の爆発的発展があり、人類は置いていかれるだろう。

従って、最初の超知的マシンが人類の最後の発明となる。

1965年-統計家I.J.グッド

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技術的特異点とは

技術的特異点。

別名シンギュラリティ(Technological Singularity)。

簡単に言うと、

人類が生み出したテクノロジーが、人類のコントロールを超えて急激に進化し始めるポイント(タイミング)

の事です。

この技術的特異点の先の世界は、コンピューターが人類を支配する、マトリックスやターミネーターのような世界になるとも言われています。

一昔前までは、「技術的特異点」は一部のSFオタクにしか相手にされないトンデモ科学扱いされていましたが、今や学者も企業も大真面目にこの問題に取り組んでいます。

ではまず、何故そんな事が起きるのか、基本的な理屈から見ていきましょう。

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収穫加速の法則

収穫加速の法則」という概念があります。

どういうものかと言うと、

一つの重要な発明は他の発明と結びつき、次の重要な発明の登場までの期間を短縮する。

イノベーションの速度は加速し、科学技術は直線グラフ的ではなく指数関数的に進歩するという法則。

技術の進歩というものは、一定のスピードで淡々と進むものではありません。

あるテクノロジーを発見すると、そのテクノロジーを利用して次のテクノロジーを研究する。

これを繰り返していくわけですので、次のステップまでの時間がどんどん短縮されていくという事です。

具体的な例としてよく上げられるのは、コンピューター関連の進歩です。

CPUの計算能力は1.8年毎に2倍、インターネットのトラフィックは1年毎に2倍になるなど、倍々ゲームのように、進化し続けています。

この法則は、技術的分野だけではなく、生命の進化なんかにも当てはめる事ができます。

例えば、単細胞生物が多細胞生物へと進化するまでには15億年もの時間がかかっていますが、その後の進歩は物凄い勢いで加速しています。

DNAは、生命の設計図を記録・保管するものです。
原初は単純なDNAでしたが、コツコツと進化を続けるうちに多様性を持つようになりました。

その結果、膨大な回数の実験(淘汰)が行われる事となり、進化の速度を加速度的に上げたのです。

地球の歴史における主要なパラダイムシフトを見てみると、

3,700,000,000年前
生命の誕生

2,500,000,000年前
真核細胞生物の誕生

1,000,000,000年前
多細胞生物の誕生

550,000,000年前
カンブリア大爆発(身体設計の多様化)

330,000,000年前
爬虫類の誕生

200,000,000年前
哺乳類の誕生

80,000,000年前
霊長類の誕生

30,000,0(0年前
ヒト上科の誕生

7,000,000年前
ヒト科の誕生

3,900,000年前
ヒトの先祖が二足歩行

1,800,000年前
ホモ・エレクトスが特化された石器を発明

1,000,000年前
話し言葉の発明

300,000年前
ホモ・サピエンスの誕生

100,000年前
ホモ・サピエンス・サピエンスの誕生

25,000年前
絵画、初期の都市

10,000年前
農業の発明

5,000年前
文字・車輪の発明

2,510年前
都市国家の発生

550年前
印刷・実験的手法の発明

225年前
産業革命

130年前
電話・電気・ラジオの発明

65年前
コンピューターの発明

27年前
パーソナル・コンピュータの普及

もの凄い勢いで進化のスピードが上がっているのが分かりますね。

この方向性は止まることはなく、例えばコンピューターの歴史で言えば、真空管式コンピューターは1950年代には進化の限界を迎えましたが、トランジスタ式にシフトする事で、進化を続けました。

今の集積回路式のCPUもこの流れを汲むものですが、2020年には集積密度の限界を迎えると言います。

しかし、限界を迎えた先には、新たなパラダイムシフトが発生(分子回路の実用化等)し、進化のスピードを止める事はないとも言われています。

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技術的特異点はいつ?

今のペースでコンピューターの進化が進むと、技術的特異点に到達するのは2045年くらいと言われています。

これは、スーパーコンピューターが、地球上の全ての人類の脳をシミュレート出来るようになるタイミングです。

2008年時点での1秒あたりの計算回数は、1015cps(※1秒あたりの動作周波数)でした。
これが2012年になると、1016cpsとなっています。

人間一人の脳をシミュレートするのには、1019cpsが必要と言われていますが、このペースならあと10年、2025年位には到達する事になります。

全ての人類の脳のシミュレーションは、1026cps必要と言われていますが、時間の問題。

技術的特異点は、もう近い未来に起こる現実の事になりつつあるのです。

現に、Googleでは、人工知能研究の第一人者であり、収穫加速の法則を発表した人物でもある、カーツ・ワイル氏をAI開発チームに加えています。

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技術的特異点の先に何が起こるのか?

このように、テクノロジーの進化が進むと、2045年には人類の知能を超えた「超知性」が生まれると言われています。
いわゆるA.I(人工知能)です。

A.Iというと、ファミコン版DQ4でボスにザラキを連発するマヌケのイメージがありますが、それと一緒にしてはいけません。

一度コンピューターが知性を持てば、彼らは自分でプログラムを改良し、収穫加速の法則に基づき超加速度的に進化を進め、人類のコントロールから離れていきます。

そうなったら、もはやコンピューターが起こすテクノロジーの進化に人類が追いつく事も、理解する事も出来なくなることでしょう。

その先に起こる事には、論者により様々な説があります。

主要な説は、次のようなものです。

マトリックスのような世界

脳に電極を刺し、人類は仮想現実の中で生きるようになる。

電極から快感中枢を刺激された人間は「幸せ」に包まれて生涯を送る。

ターミネーターのような世界

人類を不要と判断したコンピューターは、人類に宣戦布告。
テクノロジーで劣る人類に勝ち目は無い。

さよなら人類

あまりに低脳な人類に愛想を尽かし、超知性は宇宙へ旅立つ。

肉の体を捨てる

不老不死と能力向上の為、肉の体を捨て、人類が機械化する可能性。
Googleに入ったカーツ・ワイル氏の主張。

既にこの世界が仮想現実である可能性

シミュレーション仮説という理論がある。

これは、我々が生きている世界は、宇宙人や超知性が開発した仮想現実空間であるというもの。

中にいる我々はこの世界が本当に現実なのか判断する事は原理的に不可能。技術的特異点から先は、計算負荷が膨大となり、シミュレート出来ないため、この仮想現実はシャットダウンされるとも言われている…。

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