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全てのお金は誰かの借金だという事実

前回記事でチラッと触れた、「信用創造」というテクニック。

突然ですが、この地球上にはどれだけのお金があるでしょうか? ある統計によると、ざっくり90.4兆ドル。日本円にすると、およそ1京円(1...

お金を貸すことによって、銀行が自在にお金を生み出す仕組みであります。

今回は、そのカラクリを詳しく見ていきたいと思います。

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労働はお金を生まない

常識的な価値観からすると、借金というのは不健全。勤勉なる労働こそが尊い。

みたいな感覚があります。

しかし、こと「お金を生み出す」という観点から見た場合、あなたがどれだけ一生懸命働いてもそれは無意味です。

キンキンに冷えたビール

例えば、ビールを生産して、誰かに売った場合を考えてみましょう。

ビールの原料を誰かから200円で仕入れる。

すると、あなたの財布から200円が減り、原料を売った人の財布には200円が増えます。

あなたはその原料から一生懸命ビールを作り、それを300円で売ります。

ビールの売上300円から原料代200円を差し引いた100円が、あなたの労働の対価ということになります。

この流れを一見すると、あたかもあなたの労働が100円を生み出したかのように見えます。

だが待ってほしい。

これは、あくまでもあなた目線の話。経済全体を見たときに、円はビタ一文増えていません。

なぜなら、あなたのビールを買った人の財布から300円が減っているから。

ね?

驚くべきことに、あなたがいくら汗をかいても、新たにお金を生み出すことはできないのです。

お金を増やす方法

それでは次に、あなたが銀行から100円借りる場合を考えてみましょう。

という具合に、あなたが銀行からお金を借りると、この世に流通するお金が増えるという現象が起きるのです。

え?なんで銀行のお金が減ってないのかって?

それが、信用創造のテクニックの肝なのです。

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銀行預金とは何か

本題に入る前に、銀行預金についてちょっと触れましょう。

私たちは、ついつい「銀行預金」というのは「銀行にお金を預けること」だという固定観念を持ってしまいがち。

イメージ的には、手元にあるお金を手放して、銀行という名の金庫にお金をしまっておくみたいな。

そういうイメージを持っているから、例えばATM手数料を払うときに、「なんで自分のお金を引き出すのにお金がかかるんだ!」などと不満に思ってしまうのです。

しかし、銀行預金を「銀行にお金を預ける」という風に解釈するのは、実は全くの見当違いだったりします。

銀行預金は立派なお金

実際のところ、私たちが手元の「1万円札」を銀行に預金をする時、「1万円のお金」を手放しているのではありません。

「1万円のお金」は変わらずあなたの手元にあります。

ただ、そのカタチが「紙」から「数字」に変わっただけのことなのです。

1万円札だろうと1万円の銀行預金だろうと、あなたの意思で自由に1万円分の買い物ができることに変わりはありませんね。

銀行があなたの預金を勝手に増やしたり減らしたりすることはありません。

自覚があるかないかは別として、「紙」より「数字」の方が便利だから、あなたは銀行にお願いして「現金」と「銀行預金」を交換してもらっているのが実態なのです。

現金は意外に不便

実際、現金はけっこう不便

かさばる。
いちいち数えないといけない。
無くしたら終わり。
対面で直接手渡ししないと取引できない。

メリットとしては、物質なので「お金を持っているぜ」的な実感がある、というくらいでしょうか。

一方の銀行預金を見てみると、

数字(データ)だからかさばらない。
いちいち数えなくていい。
物質ではないから無くさない。
遠くの人とも取引できる。

どう?冷静に考えると銀行預金の方が使い勝手が良いでしょう?

その結果、世の中のお金のやり取りの大半は、銀行預金によって行われるようになっています。

私たちの家計だってそうです。

支出で言えば、家賃や光熱費や携帯代や生命保険とか。これらは銀行引落しによって支払うのが普通ですね。

クレジットカードでの買い物も似たようなもの。

一旦クレジット会社に代金を立て替えてもらって、それを後日まとめて銀行引落しによって支払っているだけであります。

収入に至っては、ほとんど100%銀行預金のカタチで受け取ります。

会社の給料も、メルカリの売上も、アフィリエイト報酬も、すべて銀行振込です。

という風に見ていくと、現代社会において銀行預金はそれそのものがお金として機能しているのが分かります。

紙幣や硬貨が物理的に移動することで支払いが完了するのと同じように、預金の数字が移動することで支払いが完了する。

つまり、私たちにとって銀行預金とはそれそのものがお金なのです。

銀行にとっての銀行預金

一方、銀行にとっての銀行預金というのは、負債です。

例えば、あなたが銀行に100円預けると、銀行の手元には現金が100円増えますね。

しかしそれと同時に100円の返済義務も発生します。あなたが「100円を引き出したい」と言えば、銀行はすぐに現金を渡さなければなりません、

したがって、あなたが銀行に預けた100円は銀行があなたから借りているのと同じ。

とすると、銀行預金の数字は、あなたからの借金を証明する銀行が発行した借用証書ということになります。

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銀行が融資をする時

以上を踏まえて、改めて、銀行が融資を通してお金を生み出していく様子を見てみましょう。

銀行の部

まず銀行の方から。

銀行にとって、銀行預金は負債。

その代わり、銀行は資産として現金債権(国債や借用書)を保有しています。

銀行があなたにお金を貸すと、新しい資産としてあなたの借用書が、そしてそれと同じだけの負債である銀行預金が増えます。

ここで注目すべきは二つの点。

もともと銀行が保有している資産は、1円たりとも減っていないということ。

そして、銀行は現金を貸しているのではなく銀行預金を貸しているということ。

あなたに貸したお金は、他人の預金でもなければ銀行自身の資産でもありません。

あなたの預金口座の数字をデータ上で増やすことによって、全く新たに銀行預金を生み出しているのです。

その結果としてこの世に流通するお金が純増するのです。

あなたの部

一方、お金を借りたあなたの資産は次のようになります。

融資によってあなたの預金残高が増えるので、とりあえず資産としての銀行預金が増えます。

それと同時に、あなたは銀行に借りたお金を返す約束をします。通常は、借用証書を銀行に渡すことになります。これにより、借りたのと同じだけ負債も増えます。

言い方を変えると、銀行はあなたなら借金をキチンと返済してくれるはずという信用を、銀行預金に変換したとも言えます。

逆に、あなたが借金を返済すると図の矢印は反転します。

銀行預金が消滅し、それに伴いあなたの借金、銀行の債権も消滅します。

つまり、この世に流通するお金が純減するのです。

歯止め

口座の数字を操作するだけで簡単にお金を発行できるため、銀行はニーズさえあれば無限に銀行預金を発行することができます。

しかし、お金を流通させすぎると、お金の価値が下がる=物価が上がる=インフレが起きる恐れがある。

それを規制するために、準備預金制度という歯止めが定められています。

これは、簡単に言えば、銀行預金全体に対して、一定割合の現金を用意しておかなくてはいかん、という決まりです。

日本の場合だと、準備率はだいたい1%くらい。

つまり、1億円の銀行預金を発行するためには、100万円を用意しておかなくてはいけないということです。

逆に言えば、100万円の現金を持っていれば、1億円まで融資できるということ。

こうして、世の中のお金は何倍にも膨らんでいったのです。

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借金は返済するべきか

こういうお金の仕組みを踏まえると、およそこの世界に流通するお金は、元々は誰かの借金だということになります。

個人の信用、企業の信用、そして国家の信用に対して、銀行が値踏みして銀行預金(借用書)が発行されている。

世の中の経済は、誰かが借金をするのが前提になっているのです。借金によって発行されたお金がないと、取引もままなりません。

したがって、例えば日本の借金1080兆円を返済したとすれば、世の中に流通している1080兆円のお金が消滅することになります。

そんなことが起これば通貨制度が崩壊し、経済は麻痺し、深刻な不況に陥いることは明白。

本当に景気をよくしたいなら、国も企業も個人も、みんながどんどん借金するべきなのかもしれません。

参考文献・サイト様
Money creation in the modern economy
「通貨のひみつ」中村てつじの「日本再構築」
「全ての問題の根源は、お金の発行の仕組みにある。」フェア党
「緑のお金と茶色のお金(1) MSとMBを正しく捉えるためのモデル」経済学を疑え!
「銀行はこうやっておカネを貸す 信用創造」ネコでもわかる経済問題
「日本の財政関係資料」財務省
賭博破戒録 カイジ 1

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