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双子の不思議な話

日本において、双子は不吉な存在とされてきました。

双子を産んだ母親は、畜生腹等とも呼ばれ(動物が一度にたくさん子供を生む事から)、片方を養子に出したり、酷い場合は亡き者にしたりもしたとか…。

これほどまでに双子が嫌われた原因はよく分かりませんが、

・母体へのダメージがデカい
・食い扶持の問題
・昔は双子は未熟児になるケースが多い

あたりと思われます。
ただ、もしかすると、双子の奇妙な習性を、昔の人は不気味に感じたというのもあるかも。

今ではさほど珍しくもない双子ですが、その不思議なエピソードをいくつかご紹介します。

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シンクロする双子

映画『シャイニング』より

日本では「遺伝と環境」の関係を調べるために、東大の附属中学・高校は双生児を多く入学させています。そこが出している本を見ると、双子に見られる不思議な現象がいくつも報告されています。

ある双子はそれぞれ別の部活動に所属しているのに、時間をおかずにそろって「右手首をひねった」と保健室にやってきて、本人たちも不思議がっていた。

また別の双子の一方が、卒業後に血液のガンに罹ったあと、もうひとりも同じガンを発症した…などなど。

定期テストで先生が見回りに行くと、別の教室で受けている双子が、まったく同じ質問をすることもよくある、とか。

家庭科の実習でグループ作業をしているときも、グループにおけるポジションは、たとえば一方がリーダーシップを取る位置にあれば、かならずもう一方もリーダーをやっている、とか。

これは、同一のDNA(一卵性)、もしくはきわめて近似したDNA(二卵性)を持つ双子であれば、身体面・精神面できわめて似通っていても不思議はない、とも言えます。

ですが、その説明では少し無理があるようなケースも世の中にはあります。

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超シンクロした双子

1939年8月、オハイオ州で未婚の母が双子の赤ちゃんを出産しました。二人は生まれてすぐ、里子に出されます。

ルイス家に引き取られた男の子は「ジム」と名づけられ、スプリンガー家に引き取られた男の子も同じく「ジム」と名づけられました。
「ジム」というのはジェイムズのニックネームで、ジェイムズ自体、珍しくもなんともない名前ですから、ここまでなら、よくある「偶然の一致」かもしれません。

しかし、39歳のときに再会した二人は、驚くべき一致を見出すのです。

・ふたりとも爪を噛む癖がある。

・不眠症の経験がある。

・18のとき偏頭痛が始まり、同じ頃に症状が治まった。

・軽い心臓疾患がある。

・痔がある。

・現在の体重はまったく同じ。ほぼ同じ時期に今より5キロほど重く、ほぼ同じ時期に今の体重になる。

・ふたりとも、最初の妻とは離婚して、その名前は「リンダ」。

・ふたりとも息子に「ジェイムズ・アラン」と名づけた。

・飼い犬の名は、ふたりとも「トイ」。

・最初に就いた職は保安官補、次にガソリンスタンド、今はマクドナルドという職歴も同じ。

・夏期休暇はフロリダの同じ海岸で過ごす。

・ふたりともチェーン・スモーカー、タバコの銘柄も同じ。

・ふたりとも半地下の作業場を持っていて、趣味は日曜大工。

シンクロニシティの見本みたいなこの一卵性双生児の再会は、マスコミの注目を集め、研究者も関心を持ちました。

ミネソタ大学のトム・ボーチャードという心理学者が研究を開始し、同様の双子を34組見つけたのです。

これらの双子の特徴は、二人のあいだに何らかのつながり、精神的感応がなければ起こりえないのではないでしょうか。

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二人だけの世界

おもしろいのは、このような同一化現象は、離ればなれになった二人のあいだで起こるということです。

一緒に育った双子の場合は、歳を取るにつれ、逆に、二人の間の違いが顕著になっていきます。

一緒に育った場合、アイデンティティを確立しようとする時期に、意識的・無意識的に「相手とは別個の人格」を求めようとするのかもしれません。

しかし、この「自分は自分」という気持ちを持てなかった、もしくはうまく自立できなかった双子はどうなるのでしょうか。

双子の間には、いわゆる「双子語」というものが発現するケースが多くあります。二人の間でだけ通用する独自の言語です。

通常、この双子語は幼いうちに消えてしまいますが、この双子語が、十代になるまで残っていた例として有名なのが、イギリスのギボンズ姉妹(ジューン・ギボンズとジェニファー・ギボンズ)です。

1963年、イギリス生まれの一卵性双生児、ジューンとジェニファーは、二人だけの言葉を遣い、家族ともほとんど会話を交わすことがありませんでした。

この二人だけの言葉は、周囲からは小鳥のさえずりのように聞こえ、まったく意味の分からない言語でした。

また、二人は、腰を曲げ、アヒルのように不格好に歩きました。二人並んで、まったく同じタイミングでこの歩き方をしているのは、周りの目にはとても奇妙に写りました。

学校へ上がるようになっても、二人は返事すらしません。学校に黒人は二人しかいなかった上、変にシンクロした仕草、誰とも口をきかない。当然のようにいじめられるようになります。

イジメを受けている時の二人は、向き合って互いに相手の肩をかかえ、縮こまって、より一層、二人だけの世界に閉じこもってしまうのです。

ところが学校生活が進むにつれ、徐々に違いが出てきます。ジューンの方は成績が次第にあがっていくのに対し、ジェニファーは最下位のまま。
感情面でも、「自信」が極度に欠如しているほかは比較的バランスのとれていたジューンに対し、ジェニファーはすべてにおいて劣っていました。ところが「指導性」という面だけ、際だって秀でていたのです。

後のインタビューで分かった事ですが、実は二人のまったく同じ動作は、ジェニファーによって強いられたものでした。

自分の方が10分遅く生まれ、劣っている、と感じていたジェニファーは、ジューンを支配し、目に見える違いをすべてなくして、事実上ひとりの人間になることを望んでいたのです。

一方、ジューンは自由になりたいと思いながらも、ジェニファーに完全に支配されていました。

外に向けては一心同体となるのに、二人だけになると、支配から逃れようとするジューンと、一体となろうとするジェニファーの間で、激しい葛藤が起こるようになっていました。

やがて心のバランスを失った二人は、放火をしたり、盗みをはたらいたりして、犯罪を繰りかえすようになります。

じきに逮捕され、裁判にかけられましたが、一切外部とコミュニケーションを取ろうとしなかったことも手伝ってサイコパスと診断され、19歳の時にブロードムーア精神病院という牢獄のような精神病院に収監されてしまうのです。

しかし、そこでも二人の闘争は続きます。
同室に入れれば喧嘩。別室にすれば、相手だけがいい思いをしているのではないかと疑心暗鬼になり憔悴しました。

30歳になった二人が、もう少しオープンな治療施設に移された直後、ジェニファーは急性心筋炎を起こして死んでしまいます。その原因もよくわからないまま。

ジューンは「とうとう私は自由になれた。ジェニファーは私のために、自分の命をあきらめたの」と言いいました。

現在のジューンは社会に出ており、自立して静かに暮らしているといいます。

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双子とサヴァン症候群

二人だけの世界に閉じこもっていた双子が引き離され、特殊な能力を失ってしまった例もあります。

精神科医でエッセイストのオリバー・サックスは、『妻を帽子と帽子をまちがえた男』のなかで、サヴァン症候群の双子を紹介しています。

この双子は、一方が6桁のある数を言うと、もう一方がにっこりと笑った後、別の6桁の数を言う。

この遊びを、幸せそうに繰りかえしていました。

サックスはその数字に意味があるのだろうか、とメモをしておき、数表で調べてみました。なんとそれは素数だったのです。

サックスは、翌日その素数表をたずさえて、二人の間に入り、8桁の素数を口にします。二人は30秒ほど押し黙って考えたのちに、喜んでサックスの場所を作ってくれました。

やがて、5分以上の時間をかけて、双子の一方が、今度は9桁の素数を出します。もう一人も別の9桁。サックスは本を見て、10桁の素数を口にした…。

一時間後、二人は20桁の素数を口にしていたといいます。

プッチ神父など所詮は2~3桁程度

その後、精神病院の方針で、二人は社会性を身につけるために、引き離されることになりました。
別々の施設に移された二人は、手作業を習い、バスに乗ったりするような日常活動もなんとかできるようになったのですが、その代償に、数についての不思議な能力もまた、失われてしまったそうです。

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双子の研究

このように、双子の間には色々と不思議な事が起こりますが、当然、学術的にも貴重な研究対象とされています。

例えば、前述の東京大学付属中学では、研究の意味も含めて毎年10組位の双子を入学させていますし、慶應大学でも研究所を設置しています。

性格や好み、能力等は、先天的なものか後天的なものか。こういった事を研究する上で、双子が最も適しているのです。

現在も精力的に研究は続けられていますが、現時点で分かってきていることも、けっこうあります。

・食べ物の好み
食べ物の嗜好は、遺伝の影響が大きい事が分かっています。特に肉料理は双子の好みは共通しやすく、デザートはあまり共通しないようです。
・利き手
双子は左利きになる確率が高いらしい。
・リスクに対する姿勢
例えば、知らないレストランに入る事を好むかどうか。こういったリスクに対する姿勢は、環境に依存せず、遺伝の影響が高いと考えられています。
・学力
各国において、遺伝の影響が現れる科目は異なっています。例えばイギリスでは数学と英語に、スウェーデンでは数学に遺伝の影響が現れましたが、日本では社会と物理のみでした。
カリキュラムや教え方とも関連するので、今のところは何とも言えないようですね。

こういった、遺伝と学習の境目の研究が進めば、そのうち、努力すべき所と諦めるべき所もハッキリしてきそうですね。

英語は頑張ってもたいして伸びないとか、サッカーは上手くなりそうとか、相性のいい異性はこのタイプとか、遺伝子レベルで分かるのは、良いような悪いような…。

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