第二次世界大戦末期。
ベルリンの総統官邸の地下壕で、全ての終わりを悟ったアドルフ・ヒトラーは、一夜の妻エヴァ・ブラウンと共に、自殺したとされています。
しかし、この「自殺」には不明な点が多々あり、実はヒトラーの死はハッキリしていないのです。
「ヒトラーは南米に逃げ、ナチスの残党と共にUFOの開発を…云々」という嘘くさい説はよくオカルト愛好家の間で語られていますよね。
この真偽はともかく、全くのデタラメでもないのかも。
南米で撮影された晩年のヒトラー。らしい。
「史実」としてのヒトラーの自殺
以下は、広く一般に認められているヒトラー自殺の経緯です。
第二次世界大戦末期、ヒトラーは戦局の悪化を受け、1945年1月にベルリンの総統地下壕に引越し、ここから第三帝国を統括しました。
しかし、ソ連軍がベルリンを侵攻してきており、限界は近づいていました。
ヒトラーは、その頃既にドイツが戦争に負けるであろうことを認め、自殺するつもりである事を周囲に伝えていました。
そして1945年4月29日、ムッソリーニがパルチザンに殺害された事を知り、主治医に確実な自殺方法を教えてほしいと依頼しました。
主治医の提案は、シアン化物の服用と、頭に銃弾を撃ち込むことの併用でした。
この提案を受け、ヒトラーはシアン化物のカプセルを入手し、自殺の準備を始めます。さらに、ムッソリーニが死体を逆さ吊りにされて晒されたのを知り、自分の死体は焼却するよう強く命じていました。
同日の深夜、ヒトラーは長年の愛人であったエヴァ・ブラウンとささやかな結婚式を挙げた後、秘書に遺書を口述し、記録させました。
翌日の4月30日昼頃、ヒトラーは2人の秘書と料理人と共に最後の昼食を摂り、
、一緒に避難していたスタッフや側近に別れを告げます。
午後2時半ごろ、ヒトラー夫妻は書斎に入室。午後3時半ごろに大きな銃声が響きました。
従者が書斎のドアを開けると、ヒトラーの遺体は頭から血を流して小さなソファに腰掛けており、エヴァの遺体はヒトラーの遺体の左に、ヒトラーから離れて沈みこんでいました。
2人の遺体は地下壕の非常口から総統官邸裏の小さな庭に移され、SSボディガードがガソリンをかけて燃やしたと言われています。
しかし、これにはけっこう食い違いやハッキリしない点が多いのです。
疑惑1.死体発見の経緯
ソ連軍がスターリンの厳命を受け、ヒトラーの遺体を捜索し、5月2日に「口髭のある男と女の焼死体」を発見したと報告しています。
が、ガソリンで焼かれた死体に口髭が残るものでしょうか。現場の混乱が伺えます。
さらに、5月5日には、ヒトラーを思わせる別の死体を発見したとして、調査しています。
ヒトラーらしき遺体を検分するソ連軍。焼かれていないし左のこめかみあたりを銃で撃たれており、影武者の遺体だったと言われている。
最終的には、初めの焼死体がヒトラーの遺体とされていますが、何故かその写真は公表されていません。
この写真がその焼死体らしいですが、真偽不明
ヒムラー、ゲッペルス、ゲーリング等のナチス幹部の死体写真は大々的に公表されているのに…。
※以下参考
自殺直後のヒムラー
ゲッベルス一家の死体を見聞するソ連軍
自殺直後のゲーリング
疑惑2.ヒトラーの死因
4月30日午後15:30頃、「1発の銃声が聞こえた」とされています。
しかし、部屋のドアのすぐ外にいたSS隊員は、「銃声はまったくしなかった」と証言しています。
また、死体を目撃した人々の証言では、左のこめかみに銃痕があった、右のこめかみを撃った、口の中を撃った等、かなり食い違っています。
さらに、後日行われたソ連の検死解剖の結果では、ヒトラーの頭蓋骨には弾丸を受けた痕跡が無く、「ヒトラーはピストル自殺ではなく服毒自殺である」と断定されています。
一方で、2000年、モスクワの公文書保管局に保存されているヒトラーのものとされた頭蓋骨が公開されました。
この頭蓋骨には穴が空いており、コメカミを撃っての自殺かとも言われました。
しかし、2009年、コネチカット大学の研究チームがこの頭蓋骨をDNA分析した所、20~40歳代の女性のものであるとの結果が出ました。
なんだかゴチャゴチャしてきましたが、要するに、ヒトラーの死因は全然ハッキリしていないのです。
疑惑3.ソ連の情報統制
こういった、一連の混乱の原因の一つは、スターリンが遺体確認作業の関係者に対して、口外禁止令を敷いたからです。
口外禁止令を敷いた理由は、ヒトラーの死体を入手出来なかったからというのが普通の考え方でしょう。
実際、スターリン含むソ連首脳陣は、ヒトラーの死を信じていなかった様子が記録に残っています。
1945年8月、ジューコフ将軍公式声明
ヒトラーあるいはエバ・ブラウンの遺体の痕跡は発見できなかった。
偽りの証拠を示すことで、ヒトラーは自分の痕跡を隠そうとした。4月30日未明、小型飛行機がティアガルテンから飛び立ち、ハンブルク方向に向かったという明らかな証拠がある。その飛行機には男性3名、女性1名が乗っていた。
またイギリス軍侵攻前に、ハンブルクから大型潜水艦が出港したことも確認されている。潜水艦に乗っていた人間の氏名は不明だが、女性が1人含まれていた。
1945年9月、ソ連公式発表
疑惑4.アメリカもヒトラーの死を信じていない件
1945年7月、アメリカはベルリンの総統官邸に調査隊を送っています。
その調査によると、
・ヒトラーの死体を焼いた穴には、焼却の痕跡が全くない
・ヒトラーとエヴァが自殺したソファの血痕は、二人の血液型とは一致しない
この調査隊の結論は、
さらに、アイゼンハワー元大統領までも、新聞に掲載されたヒトラー逃亡説に対し、
とコメントしています。
ヒトラーのモンタージュ写真。本気で探していたっぽいですね。
そういうわけで、状況を見ていくと、ヒトラーが「地下壕で自殺した」というのは、どうにも怪しい感じがしてきます。
「ヒトラーの死」無しには、第二次世界大戦は終結出来ません。
そうだとするならば、「ヒトラーの死」は、連合国側の作ったストーリーなのではないでしょうか。
ヒトラー生存説は、私的にはかなり説得力のある説だと思うんですが、イマイチ盛り上がりに欠けている現状。
その原因は、逃げ延びて以降のヒトラーにまったく存在感がないからに他なりません。
各種陰謀の黒幕はユダヤ人ですし、UFOは宇宙人の乗り物ですし。
まるで、のんびり老後を過ごしただけのような…。
逃げ延びたのなら、もうちょい頑張れや。