映画やアニメなどで馬に乗り戦うヒーロー。
カッコいいものですが、戦場に馬がいること自体は当たり前すぎて疑問も何も感じませんよね。
しかしそれがゾウやラクダ、イヌだったらどうでしょうか。ニワトリ、コウモリ、イルカは?
よくよく考えれば戦争に全く関係ないはずの彼ら動物達が、迷惑にも人間同士の戦争に巻き込まれた例をご紹介します。
地雷犬作戦
古来より人間に飼いならされてきたイヌは、戦場でもまた頼れるパートナーとして警備、戦闘、伝令など様々な任務を遂行してきました。
特に旧ソ連は対戦車兵器として背中に爆薬とレバーをくくりつけた「地雷犬」を考案。
戦車を見たらすかさず下に潜りこむ訓練を施しました。戦車の下に潜ると背中のレバーが倒れ、爆発する仕組みです。
そしていざ実戦に投入。
迫りくる敵軍戦車部隊の轟音と火炎に驚いた地雷犬は、次々と味方戦車の下に潜り込み、見事大戦果を挙げたそうです!自軍に!
同時期にアメリカも似たような試みを行いましたが、やはり成果が挙がらなかったそうです。
つい最近の2007年には、イラク戦争の反政府組織が遠隔操作の犬爆弾テロを用いましたが、食用以外で動物を殺すのはイスラムの戒律に反するとかで市民から批判を浴びたそうです。うーんこの・・・。
ラクダの体臭作戦
ラクダは、砂漠特化の兵科として、古来より現在に至るまで大活躍しています。
かのローマ軍も、パルミラとの戦いでは全身装甲を施したラクダ兵に苦戦を強いられていますが、まきびしを撒くという方法でなんとか機動力を封じたそうです。
巨体なため、騎馬より高い位置から攻撃ができるほか、余り知られていないことですがラクダの体臭はウマやゾウが非常に嫌がるため、敵陣にちょっとした混乱効果を及ぼしたそうです。
旅順の鷹作戦
日露戦争の時のこと。
日本軍は、旅順攻囲戦の際、要塞にこもるロシア軍の伝令ハトをタカで空中キャッチするという計画(笑)がありました。
が、訓練が終わる前に要塞が陥落したため実行はされなかった様です。
ちなみに、イギリスとドイツの間でも同様のハトVSタカは行われていた様です。
焼き豚作戦
この作戦は、ローマ時代の戦象対策で用いられたと言われています。時代的には、カルタゴの名将ハンニバルとの戦いでしょうか。
豚の背中に油を塗り、火をつけて戦場に放つことで象を混乱させるという作戦があったそうです。
ニワトリ核地雷作戦
1950年代、ソ連軍の侵攻を止めたいイギリス軍が、ライン川沿いに地雷型の核爆弾を設置するというぐう畜プランを考案しました。
問題はただひとつ、冬のドイツはあまりにも寒いので設置して敵を待っている間に電子機器が凍ってしまわないかというもの。
そこで講じられた対策が、中にニワトリをいれて体温で機器を温めるという、ニワトリさん涙目の方法でした。
1957年7月には10発分の地雷部品が発注されましたが、翌年2月に「さすがに核地雷は畜生すぎるかな?」という理由で中止されています。
決してニワトリ愛護の観点から中止された訳ではありません。
燃えるコウモリ作戦
第二次世界大戦時、小型ナパーム弾を身につけたコウモリを日本の都市の上空に放ってやろう、というアメリカ軍の作戦がありました。
防空壕に潜り込ませるつもりだったんですかね。
わざわざそんな面倒なことしなくても、そのまま空爆すればいいのではないかという指摘により中止となりましたが、遊び半分で街を燃やそうとしたやつらのことを、みなさん覚えておきましょう。
以上、色々な動物兵器を見てきましたが、現在進行形でアメリカ軍に訓練されている動物兵器があります。
そう、先日アメリカの駐日大使が批判して物議を醸したイルカです。
「アメリカ海軍海洋ほ乳類計画」に基づいて、湾岸戦争やイラク戦争時も機雷の探知という目的で実戦投入されており、今も極秘裏に潜水艦基地周辺の哨戒任務に当たっているそうです。
また、2012年のロシア通信社報道によると、ウクライナ海軍がナイフや銃を装備した殺人イルカの訓練も予定していたとのこと。
訓練の手間やコストを考えると自爆攻撃の様な使い方はあまりしないでしょうが、いずれにしろ現在も軍用イルカというものは存在しています。
「日本人はイルカやクジラを殺して残酷だ」等と言っている某団体が、この軍用イルカに抗議をしているというニュースは、今のところ聞こえてきません。
どうしてかな?(すっとぼけ)