福島原発の話題も、時間の経過とともに少しずつ下火になっています(事態が収束したとは言っていない)。
放射性物質を気にし過ぎて、外食もおちおちできなくなってしまっては、日常生活へ支障が出てしまいます。
そのような状態は、一部では、「放射脳www」などと揶揄されてもいます。
しかし、それでもなお、放射性物質の人体への影響というのは、軽いものではありません。
過去に致死量の放射線をバッチリ受けてしまった人達の最期は、例外なく物凄く悲惨なものでした。
ゴイアニア被曝事故
1987年9月-ブラジル-
ゴイアニア被曝事故
以下、Wikipedia – ゴイアニア被曝事故より抜粋
二人の若者が、市内の廃病院に高価な品があるという噂を聞きつけ、宝探しに向かう。そして放射線源格納容器を発見し、自宅に持ち帰った。
3日目
二人に嘔吐の症状が出現。食あたりと考え放置。
4日目
めまい、下痢、右手の浮腫が出現。
5日目
病院を受診。食物アレルギーと診断され、その日は軽い仕事しかできなかった。
8日目
盗難をした若者の一人が、自宅の庭で線源容器にドライバーで小さな穴を開けた後、線源容器を廃品業者へ売却。
業者は自宅敷地内の解体工場に保管したが、その日の夜、それが青白く光っていることに気づく。そこで線源容器を自宅に運び込み、翌日から3日にわたって数人の知人を家に呼んで光る粉末を見せた。
10日目
廃品業者の友人がドライバーを使ってさらに中の顆粒状のセシウムを取り出す。友人はそれを持ち帰り、弟にも一部を分け与えた。また、廃品業者もセシウムを親族に配った。
カーニバルの時に衣装をそれで光らせようという考えもあったようである。
11日目
廃品業者の妻に嘔吐と下痢の症状が現れ、病院を受診するが食物アレルギーと診断された。
12日目
廃品業者の従業員が容器から鉛を抽出しようと作業する過程で被曝。
13日目
盗難をした若者の一人が皮膚症状で入院。放射線皮膚炎であるとはこの時点で誰も気づいていなかった。原因不明のまま4日後には熱帯病病院に転院した。
14日目
廃品業者の隣に住む弟がセシウムの粉末を貰い受け、食卓においた状態で家族が食事した。娘は、セシウムをいじった手で食事をしていた。
15日目
廃品業者が、容器と取り出した鉛を別の解体業者に転売。
16日目
廃品業者の従業員数人が鉛を求めて再度施設に侵入し、残った遮蔽装置300kgを盗み出す。
18日目
この頃には症状を呈する者が数人以上になっていた。廃品業者の妻は光る粉が原因であると確信し、従業員とともに転売先の解体工場から線源容器を取り返し、二人で地元の保健当局事務所に向かう。
妻は事務所の医師に線源容器の入ったカバンを渡し、「これがあたし達全員を殺そうとしている」と訴えた。医師は事務所の庭にそれを放置して二人を熱帯病病院に向かわせた。
熱帯病病院では、同様の症状の者が数人受診しており、妻も同様に流行性の熱帯病と診断された。
しかし医師は、一連の患者の一部に見られる皮膚病が放射線皮膚炎ではないかと疑い始める。
19日目
たまたまゴイアニアにいた放射線医学専門家が連絡を受け、線量計を持って問題のカバンのある事務所に向かった。しかし建物の前で測定器が振り切れたので故障と思い、すぐに代替の線量計を持って事務所に向かったが同じように振り切れた。
ここでやっと、測定不能な放射線源がそこにある事が判明し、周囲の住民11万2000人を市内のスタジアムに隔離した。
最終的に、合計250人が被曝し、4名が放射線障害で死亡した。
この事故は、レベル5(スリーマイル島原子力発電所事故やウィンズケール原子炉火災事故と同レベル)とされている。
このゴイアニア被曝事故は、刑事罰を受けるべき者がいない、悲しい事故でした。
格納容器には、当然放射能を警告するマークがついていましたが、最初に運び出した若者は、それが何を意味するのか分からなかったとのこと。
その代償が、右腕の切断となってしまいました。
最初に格納容器を運び出した若者
この事故で亡くなったのは、廃品業者の妻、従業員2人、セシウムが付着した手で食事をした娘、の4名です。
最終的な死因は様々ですが、いずれも全身の皮膚の崩壊と出血、内蔵の損傷がありました。放射線により、DNAがズタズタ破壊され、再生が出来なくなってしまうのです。
JCOの例の画像(←超閲覧注意!)と同様の状態です。
メキシコの場合
最近も、この綺麗な光によって引き起こされ、あわやゴイアニア被曝事故の再発の一歩手前となった事件があります。
メキシコ中部のイダルゴ州で、男6人が放射性物質「コバルト60」が入った医療機器を放射性廃棄物貯蔵施設に運んでいたトラックを強奪した。犯人たちの身柄はほどなく拘束されたが、「コバルト60」を含む医療機器は、トラックから1キロほど離れた場所に置かれていた。
犯人たちはこの治療機器に触ってしまっていたのである…。
ほどなく、6人のうち、16歳の少年と25歳の男が吐き気や嘔吐、目まいを訴え、病院に送られた。さらにその数時間後には、他の4人も病院に運ばれた。
最初に入院した2人の健康状態には「深刻な問題」が生じており、病院の周辺を封鎖する事となった。
コバルト60とは、強力な放射性物質で、ほんの数分の一グラムであっても超高エネルギーのガンマ線を放出します。
アメリカでは炭疽菌テロ対策として、郵便物の殺菌や滅菌に使われています。人体に対しても確定的な影響を与えると言われています。
コバルト60は、通常
このような容器に入れられ厳重に保管しておくものです。
また、この事件の場合は
このようにらあからさまに危なそうな容器に入っていたのですが…。
この犯人たちも、おそらく容器をこじ開けてしまってのでしょう。
コバルト60も、とても綺麗な光(チェレンコフ光)を放ちます。
こちらは自業自得な面があるので、あんまり同情は出来ませんが、海外で盗みを働くような貧しい人々は、文字も読めないケースが多いようです。
同じような悲劇が起きなければいいのですが。
なお、フィンランドにある「オンカロ」と呼ばれる核廃棄物処理施設には、
このようなマークが設置されています。今の言語が通じない6万年後の人類に向けて…。