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ライフルの歴史まとめ。

より強力な飛び道具を。

その要求は、ライフルの進化をますます加速させました。なんか詳しくやるのもアレなので、ササッといきます。

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紙→金属

まずは薬莢の話。

火縄式の頃から、薬莢というか「弾」と「火薬」を一つにまとめたものを使用して、リロード時間を短縮するという工夫はなされてきました。

しかし、発射にはどうしても火種が必要で、雨に弱く信頼性もイマイチな火縄や火打石に頼らざるを得ません。

それが、1830年に「雷管」が発明されたことにより、ようやく火種から卒業することができました。

そして工夫はさらに進み、ついには「弾」と「火薬」と「発火装置」を一つにまとめた「薬莢」が登場しました。

薬莢いろいろ

薬莢の発明は、装填スピードを劇的に向上させるとともに、不発の確率を大幅に減らしました。

ただ、初期の薬莢は、紙製

脂などでコーティングしてはいますが、湿気や乾燥に影響されやすいものでした。

さらに、当時流行りの後装式ライフルには「銃を装填する機構」が銃身のケツにあるため、その隙間からガスが漏れ放題という問題がありました。

この解決策の一つは、銃自体の製造精度を上げ、なるべく隙間を無くすこと。

そしてもう一つが、薬莢を「紙製」から「金属製」へと変えることでした。

金属製薬莢ならば、発射時にその薬莢自体が「蓋」となって、ガス漏れを防ぐことができます。同じ火薬量でも弾の威力・飛距離は格段にアップするのです。

しかしその一方で、次弾を装填する前に「空になった薬莢を一度取り出す」という余計な一手間がかかるという欠点もあります。
※紙製薬莢の場合は、射撃と同時に周りの紙も綺麗に燃えて無くなり、次弾をすぐに装填できます。

金属製薬莢それ自体は1812年にはすでに考案されていましたが、紙製薬莢からシフトするには、スムーズな排莢の仕組みを考えなくてはなりませんでした。

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リロードしやすく

前から弾薬を突っ込むより、後ろから入れる方が優れているのは前回述べた通りです。

伏せたまま次弾を装填できる上、装填スピードも段違い。

そして、薬莢の発明により、ライフルは大きく2つの装填方式を持つようになりました。

ボルトアクション

一つは、ドイツが1836年に発明したドライゼ銃に源流を持つ「ボルトアクション方式」。

銃身のケツを「ボルト」を言いますが、それを前後に動かすだけで、空の薬莢を排出して新しい薬莢を装填できる仕組みです。

そのうち引き金の前くらいの所に弾倉が設置されるようになり、5〜12発くらいの連発が可能となりました。

ボトルアクションの仕組み。

レバーアクション

もう一つが、「レバーアクション方式」。

シュワちゃんがクルクルとショットガンを回していたシーンを覚えている方も多いハズ。

このシーン。

この方式が初めて搭載されたのは、アメリカ製の「ウィンチェスターM1873」というライフル。

このライフルはアメリカでバカ売れし、「西部を征服した銃」と称されました。

レバーアクションの仕組み

戦場で銃を撃つ際に一番ありがちな体勢は、身を伏せながらです。

しかし、レバーアクションの「レバーを下げる」動作は、伏せながらだと、かなりやりにくいことが判明。

また、銃の肩当のあたりにチューブ状の弾倉がありますが、これが結構危険な代物。

弾が直列で納まっているので、必然的に後ろの弾の先っぽが前の弾のケツを刺激してしまいます。そのため、先が尖った弾丸を使えず、弾道が安定しないという弊害がありました。

そんなわけで、レバーアクション式は軍用銃として成功することはありませんでした。

リボルバーとか

拳銃の世界では、「リボルバー」が有名。

レンコンみたいな弾倉がクルクル回転して、連発を可能にしています。

あとは、ショットガンによく採用されている、「ポンプアクション」も有名。ガシャコンとグリップを前後に動かすやつです。

これは、銃身の下に筒型の弾倉がついていて、「ガシャコン」によって次々に弾が供給されるという仕組みです。

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煙を減らす

銃の射程距離に最も影響するのが、火薬の性能であります。

火薬が発見されたのは、6〜7世紀ごろの中国。初期の火薬は、木炭と硝石と硫黄を混ぜた、「黒色火薬」でした。

これは、10世紀の「突火槍」発明から、実に1000年近くもの間、弾を飛ばすツールとして採用されていました。

https://fknews-2ch.net/archives/post-7998.html

しかし、この黒色火薬は火をつけると爆発とともに大量の白煙を出します。

戦列歩兵が一斉に射撃したりすると、本当に何にも見えなくなってしまい、現場からは結構不満が上がっていました。

が、1884年のフランスで、そんな都合の良い「B火薬」なるものが発明されました。

このB火薬は、それまでの黒色火薬と比べて大幅に煙が少ない上、威力も通常の3倍

すなわち、同じ威力を出そうとするのに必要な量が黒色火薬の1/3で済むという、夢のような火薬でした。

この後も火薬の改善は続けられ、1890年にはニトログリセリン、ニトロセルロース、ニトログアニジンをベースにした「無煙火薬」が完成。原理とかはよく分かりませんが、「ニトロ」がつくとよく爆発しそう(KONAMI)

こうした一連の無煙火薬の発明は、飛距離・威力の向上だけでなく、薬莢の小型化・軽量化をもたらしました。結果、兵士が持ち歩ける弾薬の量が増えることとなりました。

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各国のライフル

以上が、たいたい19世紀後半から20世紀始めにかけての主な技術革新でした。

この一連の進歩を踏まえ、各国の軍隊はそれぞれ独自の歩兵用ライフルを配備していくことになります。

この時代、新しい技術やアイデアがどんどん出てきており、いつ時代遅れになるかわからん状況。軍用銃を制定し、大量配備するタイミングは相当難しかっただろうと推察されます。

とりあえずの節目として第一次世界大戦時の、各国の軍用ライフルをご紹介しておきます。

アメリカ軍

「M1903」。
普通に名銃で、第二次世界大戦初期までバリバリ前線で戦い抜きました。命中精度も良く、狙撃銃としてはベトナム戦争あたりまで使用されたとか。
5連発。全長1.115m、射程距離914m。

フランス軍

「ルベルM1886」。
世界で最初に無煙火薬を使った軍用小銃。この優れたデザインは、世界中のライフルに影響を与えました。
8連発。全長1.3m、射程距離400m。

イギリス軍

「SMLE」。
扱いやすいよう銃身を切り詰めたり、当時としては破格の10発装填できる弾倉を備えたり、いろいろ工夫が凝らされた銃。ただ、その分生産が大変で需要に全く追いつかなかった微妙な銃。
10連発。全長1.118m、射程距離918m。

ロシア軍

「モシン・ナガンM1891」。
これの改良verは、シモ・ヘイヘも愛用していました。
5連発。全長1.287m、射程距離500m。

ドイツ軍

「モーゼル・カヴェール98(Gew98)」。
大手銃器メーカー「マウザー社」の設立者、モーゼル兄弟によって設計された名器。ボルトアクション機構の完成形ともいわれ、現在もほぼおなじ形状の機構が使われ続けています。
5連発。全長1.25m、射程距離500m。

イタリア軍

「カルカノM1891」。
イタリア政府主導で開発されたライフル。
威力がかなりイマイチで、エチオピア侵攻の際には「数発敵に喰らわしたのにラクダに乗って突っ込んできた」と現場から苦情が上がりました。
6連発。全長1.295m、射程距離600m。

ずらずらっと並べましたが、興味が無いと区別がつきませんね。

が、ここに挙げた小銃たちは、いずれも現代でもそれなりに通用するほどの完成度を誇っている名器なのであります。

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まとめ

というわけで、なんとか無理矢理ライフルまでたどり着きましたので、一旦ここで銃の進化についてまとめておきたいと思います。

618年〜907年(唐)のどこか

中国人、不老長寿の薬を作っている最中に火薬を発明。
研究者の自宅が全焼するという悲しい事件も起きました。

1127年〜1279年(南宋)のどこか

原初の銃、「突火槍」登場。

花火に毛の生えた程度の威力ですが、轟音と閃光はかなりのインパクトを与えました。特に、騎兵(馬)には非常に有効っぽい。

1300年頃

マドファ(火槍のパクリ)」が中東に出現。ユーラシア大陸全土を蹂躙したモンゴル帝国のおかげ。

1390年頃

大砲を小型化した「ハンド・ボンバード」が登場。

竹製から青銅製になって、火薬をたくさん入れられるようになりました。

1400年頃

ハンド・ボンバードの口径を小さくしたものが出回る。

サイズが小さくなり、一般人でも扱えるようになりました。

1500年頃

マッチロック式」を発明!

ついでに「引き金」や「肩当て」なんかも考案され、ついに火縄銃が完成!

火種を持ち歩くというかったるさはあるものの、持ちやすさ、威力が飛躍的に向上しました!

また、連射は無理ですが、1分間に2発くらいは撃てるようになりました!

なお、命中率

1590年くらい

フリントロック式」を発明!

火種なしでも発射可能!使い勝手はどんどん向上していきます!

なお、命中率

1640年くらい

切れた農民がマスケットの先にナイフを突っ込んで突撃。「銃剣」の登場である。

このコペルニクス的転回により、マスケットは「銃」でありながら「槍」にもなったのである。

すなわち、銃兵はもはや近接戦闘もこなす万能ユニット。彼らが横隊を組んで敵に迫る「戦列歩兵」はスゴイんだぞ!(白目)

1740年くらい

作るのがものすごく大変な「ライフル」が、少〜しずつ普及。

猟兵という、ピンポイント狙撃を行うゴルゴ13的ユニットが出てきました。

ただ、ライフルは弾と口径がピッタリなので、前から装填するのは超大変。2分に1発とかそんな感じ。

なので、飛び道具の主役はまだ「マスケット」。

1822年

雷管が発明されました。これで雨の日も安心。

1836年

プロイセン(ドイツ)が物凄いライフル銃を開発しました。

この銃は、「ドライゼ銃」。プロイセンの快進撃に大いに貢献しました。

1849年

ドライゼ銃をパクりたくても、そう簡単には作れない…。

そこで、各国は、それまでの旧式マスケットに後からライフリングを施し、前込め式ライフルを運用するようになりました。

そこで役に立ったのが、この年に発明された「ミニエー弾」。

撃つと膨らむミニエー弾は、前込め式ライフルの装填速度を大幅に向上させました。

1800年代中頃

各国で後装式(ボルトアクションやレバーアクション)のライフルが開発され始める。

薬莢も紙製から金属製に変わり、弾薬の持ち運びが容易になりました。

1884年

煙が少ない威力の高い「B火薬」が発明され、薬莢の小型化と、威力UPが進んでいきます。


はい。だいたいこんな感じです。

これ以降、「手動」の小銃は、この1800年代後半らへんのものをベースに改良が重ねられますが、画期的な進化みたいのはあんまり起きません。

例えば、ケネディ暗殺に使われたライフル銃は、イタリア軍の「カルカノM1891」の口径を大きくしただけの改良verです。

また、イギリス軍の使用していたSMLEなんかは、現代でもタリバンが現役で使用してたり。

逆に言うと、この時代でほぼライフルは完成してしまったのだとも言えるのかもしれません。


次回は、マシンガン的な銃について軽くまとめて、この飛び道具シリーズも一旦完結となります。

目標年内。

長々とすいませんね。

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